魔の星アルゴル

日食連星の想像図

北ペルセウス座で2番目に明るいアルゴルは、全天で最も優れた日食連星例といえるでしょう。 このコンパクトな恒星系では、2つの星が共通の重心を中心にリズミカルで正確な重力のダンスをしながら回っており、その結果、食によって星の明るさが人間の目にもわかりやすい程度に時計のように変化するのだそうです。 しかも、それを自宅の裏庭から見ることができるのです。 3189>

アルゴル星は、ペルセウス座ベータ星とも呼ばれ、地球から約93光年の距離にあります。 多くの星と同じように、この星も連星系です。太陽の3倍ほどの直径を持つ青白い高温の主系列星と、寿命が延び始めた黄橙色の低温の星です。 この2つは、地球と太陽の距離の20分の1という近さなので、2.867日に1回という高速で自転しているのです。 このような間隔の狭い連星はよくあります。

ペルセウス座と日食変光星のアルゴルです。 日食のとき、アルゴルの明るさをアルマッハ星(2.1等星)やペルセウス座ε星(2.9等星)と比べてみましょう。

しかし、アルゴルの軌道面は多くの連星と違って私たちの視点と一致しているので、暗い方の星が明るい星を1回転のうちに一部さえぎることになっています。 そのため、2つの星の明るさの合計が、およそ70%も急に落ちたように見えるのです。

古代の星見家たちは、アルゴルのリズミカルな明るさの変化に驚かされたのでしょう。 アルゴルの名前はアラビア語のアル・グール(悪魔)に由来し、ギリシャ神話では、ペルセウスが海の怪物ケトゥスを石に変えるのに使った蛇の髪のゴルゴン、メデューサの頭を表している。 また、古代人はアルゴルを不幸の象徴とみなしていた。 叙事詩人ホメロスは『イーリアス』の中でアルゴルについてこう書いている。 “・・・ゴルゴンの頭、奇形で恐ろしい、災いの光景”

しかし、古代人はこの星に悪い評判をつけた。 近代科学の幕開けとともに、17世紀から18世紀にかけて、天文学者はアルゴルの明るさの変化をより正確に測定するようになった。 そして一部の天文学者は、この変動は日食によるもので、おそらくは大きな惑星が星の周りを回っているために起こるのだろうと推測したのです。 そして19世紀後半に分光観測の幕が開き、ついに天文学者は、片方がもう片方よりも暗い、互いに回り合う2つの星の存在を確認することができました。 この星は1.85年ごとに2つの明るい星の周りを回っています。

私たちから見ると、3つの星は近すぎて望遠鏡で直接見ることはできません。 しかし、干渉計の技術を使った巧みな計画により、2つの主星を分解し、その回転を示すことができました(下図)。

アルゴル星が互いに回転する2つの主成分の近赤外画像シリーズ。 Image credit: Georgia State University.

実際に動いているアルゴル星を自分の目で見ることができます。 ペルセウス座の中で最も明るい星、ミルファクのすぐ東に簡単に見ることができます。 日食していないときの明るさは2.2等星です。 食のピーク時には、暗い成分が明るい成分を部分的に食するため、明るさは3.3等と顕著に低下する。 食は最大から最小、最大まで約10時間かけて起こるので、タイミングがよければ一晩で明るさが下がったり上がったり、わずか数時間で大きく変化する様子を見ることができます。 日食の経過を追うには、近くのペルセウス座イプシロン星(2.9等)やアンドロメダ座ガンマ星(2.1等)とアルゴル星の明るさを比較するとよいでしょう。 3189>

前述のように、アルゴル座の食は2.867日おきにやってきます。

アルゴルのような変光星の明るさ(等級)を測ると、光度曲線と呼ばれるものが得られます。 日食する変光星は、下のような特徴的な光度曲線を描きます。 明るさが深く落ち込んでいるのは、暗い星が明るい星をさえぎる時間です。

アルゴル座の光度曲線。主食と副食がそれぞれ2.867日ごとに起こります。

アルゴルのような食連星は、単なる物珍しさにとどまりません。 アルゴルのような食の連星は、単なる好奇心ではなく、星の明るさや質量を直接測定することができ、天文学者が星の働きに関する理論や数学的モデルを改良するのに役立ちます。 何兆キロも離れた星の本当の大きさと明るさを、注意深い観察と推論によって測定し、その測定値から他の何千もの星の特性を推測することができるのです。 科学は美しいものです。

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