重症左室機能障害と両室血栓症の患者におけるHampton's Hump | Grain of sound
56歳男性が1週間前から咳と喀血の既往があり救急外来を受診した. 2か月前に臨床所見と心エコーから拡張型心筋症と診断された。 また,先週から息切れが悪化していることも報告された. 本人は胸痛や発熱は否定していた。 血圧は120/90mmHg,心拍数は108回/分,呼吸数は22回/分,体温は97°F,空気中の毛細血管酸素飽和度は98%であった. 身体所見では,両肺の基部に両側性のクラックルが認められた. 胸部X線検査で右下肺野にHampton’s humpという楔状の圧密部位(図1,矢印)を認め,肺梗塞を疑った1)経胸壁心エコー検査で重度の全左室機能障害と両心室血栓症を認めた{図2. LV:左心室,RV:右心室,血栓(矢印とアスタリスク)}を認めた. 未分画ヘパリンとワルファリンで治療した. 8日後の心エコー図では両心室血栓は完全に消失していた. 本症例では,心エコーで両室血栓が稀に認められたことと,胸部X線でHampton’s humpが認められたことが,肺塞栓症および梗塞の診断に役立った3)
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