血腫と急性腹症 | Grain of sound
CASE REPORT
28歳女性が1ヵ月半の無月経と急性腹症で救急受診した。 これまで2回の正常分娩と1回の子宮内死亡を経験し,その後,徒手的に胎盤を除去していた。 また、2年前から生理時の経血量が減少していることを訴えた。 診察の結果、バイタルは安定していた。 腹部診察では、下腹部と左腸骨窩に圧痛を認めた。 左腸骨窩に約7×8cmの嚢胞性腫瘤を認めたが、腫瘤の下縁は感じられなかった。 骨盤内視鏡検査は疼痛により制限された。 鏡検で子宮頸部後縁に子宮筋腫を認めた。 子宮口は確認できない。 膣周囲の検査では、子宮頸部を動かすと極度の圧痛を感じた。 腫瘤の動きは子宮頸部に伝わっていた。 緊急経腹超音波検査では、子宮下部が急激に狭窄し、砂時計型に肥大した子宮が確認された。 子宮内腔に等高度から高高度の集塊があり、その容積は約100mlであった[2]。 経膣スキャンでは、子宮内腔の集まりがはっきりと確認された.4]。 尿による妊娠検査は陰性で、日常検査は正常であった。 ヘモグロビンは9g/lで、白血球数は14800/mm3であった。 ヘガーダイレーターによる子宮頸管の拡張は試みられたが成功しなかった。 腹腔鏡検査を施行したところ、肥大した嚢胞性子宮が発見された。 麻酔下で子宮頸管の拡張を試みたが、前回同様不成功に終わった。
経腹超音波検査にて子宮内腔に等~高エコーの集積を伴う子宮腫大と子宮頸部筋腫を認め、BL-膀胱、UT-子宮、H-血腫
経腹走査の手書き図(U-子宮、H-子宮筋腫、C-子宮筋腫、B-膀胱
経膣スキャンで子宮内腔に等~高エコーの集塊を明瞭に認めた;hematometra(H)
経膣スキャンの手書き図 子宮(U)、血腫(H)、頚部筋腫(C)
患者さんが子宮摘出を希望されていたので、膣式の子宮摘出で進めることになりました。 術中、膀胱を押している時に、薄くなった子宮の前壁が屈曲し、レントから古い濃い血液が出ているのが確認されました。 標本の病理組織学的検査では、子宮頸部筋腫が確認された。 患者は術後問題なく退院した。
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