散逸とは?
QCMベースの計測器について話していると、しばしば「散逸」や「ダンピング」という概念に出くわします。 3564>
散逸、ダンピング、エネルギー損失
「散逸」、より正確には「エネルギー散逸」は、研究対象のシステムから失われるエネルギーを指します。 QCMは調和振動子であり、すべての現実の振動子と同様に減衰します。
振動子は、外力によって強制的に振動させなければ、次第に振幅が小さくなり、やがて振動が停止してしまいます。 ここで考えている振動振幅の減衰は、摩擦損失によるもので、振動子自身の内部摩擦や周囲の媒体(空気、水など)の摩擦が考えられます。 この摩擦により、振動エネルギーが熱として散逸するため、散逸と呼ばれています。
散逸には、研究対象の材料に関する情報が含まれています
QCMの場合、誘導エネルギー損失は主に振動するセンサー表面と接触する材料から生じます。 表面と接触しているすべての材料がエネルギー損失を誘発する。 この現象は特にバルク液体や軟質膜の成膜時に顕著になる。 振動中、表面に接触している液体やソフトフィルムは変形し、その結果、システムからエネルギーが失われる。 センサー表面が空気や真空と接触している場合、誘導されるエネルギー損失は比較的小さい。 これは、薄く硬い膜を形成した場合の損失も同様である。 薄くて硬い層は発振中に変形しないため、柔らかい層や厚い層に比べ損失が小さくなる。 3564>
損失とQファクタの定義と関係
発振器の特性を表す重要なパラメータにQファクタ(quality factor)があります。 これは共振時の振動の減衰を表す無次元パラメータで、蓄積されるエネルギー量と失われるエネルギー量との関係で表されます。 散逸量Dは、Qファクターの逆数で、発振周期あたりのシステム内のすべてのエネルギー損失の総和である。 また、1回の発振で消費されるエネルギーをシステムに蓄積されたエネルギーの合計で割ったものとも定義できます。
Q = 2π・(貯蔵エネルギー)/(1サイクルあたりの損失エネルギー)= 1/D (1)
式から判断できるように、Qファクターが高いほどエネルギーの損失は小さく、発振が長く続くことになり、図1のようにその逆の場合は、発振が長く続くことになります。 Qが高いほど減衰が小さく、振動が長く続くことになる。
図1. 音叉の場合(左)、散逸が少なく、発振が長く続く。 ゼリーの場合、エネルギーの散逸は大きく、振動は早く消滅する。
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